外壁にひび割れ(クラック)ができる原因と種類、補修方法・費用
建物は日頃から紫外線や雨風などの影響を受けているため、様々な劣化症状を引き起こします。外壁に発生するひび割れも代表的な劣化症状の1つです。
ひび割れの原因は様々ありますが、ひび割れの度合いによっては早急に補修が必要な場合があります。ひび割れをそのまま放置してしまうと、雨漏りや建物全体に深刻なダメージを及ぼす可能性があるため注意が必要です。
このページでは、外壁に発生するひび割れの原因や種類、補修方法について説明します。
クラックとは
クラックとは、外壁に発生するひび割れのことを指します。モルタルやコンクリートなどの湿式工法の外壁材で発生することが多く、外壁にできるクラックには、ヘアークラック、乾燥クラック、構造クラック、縁切れクラックの主に4種類があります。
これらを大きく分けると、下地までダメージがなく塗膜にのみ発生しているクラックと、下地までひび割れが発生しているクラックの2種類に分けることができます。
下地に影響のない軽微なひび割れであれば、早急に補修する必要はありませんが、それ以上の下地まで割れが発生しているようであれば補修が必要です。
そのまま放置してしまうと、ひび割れ部分から雨水が建物内部に侵入し建物内部を腐食させてしまいます。建物の劣化や腐食が進行すると、外壁内部の構造体にも悪影響を及ぼし最悪の場合、建物が倒壊してしまう恐れもあるので注意が必要です。
ひび割れ(クラック)の種類と原因
ヘアークラック
ヘアークラックとは、髪の毛のように細く短く、幅が0.3ミリ以下の軽微なひび割れのことを指します。塗膜に発生するヘアークラックの原因は以下の通りです。
【経年劣化による塗膜の劣化】
紫外線や雨風、地震による建物の揺れ、震動などの影響によって塗膜の劣化が進行することで、下地の膨張収縮に耐えられなくなり塗膜にひび割れが発生します。
【塗料の選定に不備があった】
弾性素地や弾性塗料の上に硬質塗料で上塗りを行うなど、塗料の相性や特徴を正しく理解せずに業者が施工してしまうことでヘアークラックが発生してしまう恐れがあります。
これは、下地の弾性による動きに硬質塗料が追従することができないため、塗膜の表面にひび割れが発生してしまいます。
【塗料の乾燥時間を守らなかった】
外壁表面の仕上げ方法の1つに、専用のスプレーガンでをする吹き付けタイル仕上げというものがあります。吹き付けタイルは専門用語では複層仕上塗材と呼ばれるもので、塗料を下塗材、主材、上塗材の3回塗り重ね塗装を行います。
しかし、主材と上塗材を塗装する間の乾燥時間に問題がある場合には、ヘアークラックにつながる恐れがあります。主材はあくまでも模様や柄を作ることを目的としているため耐久性は考慮されていません。
しかも、厚付けする場合が多いため、通常16時間前後の間隔を空けてから上塗りを行う必要がありますが、主材が未乾燥のまま上塗材を塗装してしまうと、上塗材の硬化乾燥後に主材が硬化収縮してしまうことで、上塗材にひび割れが発生します。
乾燥クラック
乾燥クラックは、モルタルやコンクリートなど湿式工法による外壁材に多く見られる現象です。湿式工法による外壁材は、モルタルなどの塗り壁材に水を練り混ぜてから施工し乾燥させることで出来上がります。
しかし、乾燥過程で水分の蒸発などにより収縮し、体積が小さくなることでひび割れが発生してしまいます。また、未乾燥のまま上塗材を塗装してしまうと、下地の収縮に耐えきれず塗膜に幅の小さなひび割れが発生します。
構造クラック
構造クラックとは、幅が0.3mm~7mmまでの建物構造にまで影響する可能性のある深刻なひび割れのことを指し、別名貫通クラックとも呼ばれています。
原因としては、「建物の構造的な欠陥」「地盤の不同沈下や基礎の劣化」「凍結と融解が繰り返される」「地震や強風などによる外壁要因」などがあります。
構造クラックは、下地まで割れが発生している可能性が高く、ひび割れ部分から雨水が建物内部に侵入し建物内部を腐食させてしまいます。そのまま放置してしまうと、建物内部まで損傷が広がってしまったり、建物が倒壊してしまう恐れもあるので早急な補修が必要です。
縁切りクラック
縁切りクラックとは、モルタルやコンクリートなど湿式工法による外壁材に多く見られる現象です。基本的に湿式工法による外壁材は一度に一面を仕上げます。
しかし、途中で作業を中断したり、部分的にやり直しをすることで、塗料の乾燥具合に差がでてしまい、新旧の塗料の継ぎ目部分にひび割れが発生します。
ひび割れ(クラック)の補修方法と費用
幅0.3mm以下(ヘアークラック)
幅0.3mm以下のヘアークラックの場合は、塗膜のみにひび割れが発生している状態のため早急に補修を行う必要はありませんが、時間経過とともにひび割れが進行する可能性があるため、ひび割れが大きくなっていないか定期的に観察をする必要があります。
【補修方法】
建物の耐久性に影響がないひび割れであれば、塗装で埋めて補修することができます。ひび割れに直接下塗り材のフィラーを塗り、その上から上塗り材を塗り重ねて塗装を行います。
塗装を行う際は、今後のひび割れのリスクに備えるために弾性塗料で塗装を行うことをオススメします。弾性塗料で表面を保護することで、建物の動きに塗料が追従し伸縮するためひび割れの発生を抑えることができます。
下塗り材の費用相場は800円/㎡前後です。上塗り材の費用は、塗料のグレードにより異なります。
幅0.3mm~1mm
幅0.3mm~1mmのひび割れの場合は、建物構造にまで影響する構造クラックの可能性があるので注意が必要です。そのまま放置してしまうと、ひび割れ部分から雨水が建物内部に侵入し、建物内部を腐食させてしまいます。
【補修方法】
まずはクラック部分についたごみや汚れの清掃を行います。その後、下塗り材のプライマーを塗り接着力高め、シーリング材や樹脂モルタル、エポキシ樹脂を充填しクラックを埋めてから塗装を行います。
補修費用相場は、600円/㎡前後です。
幅1mm以上
幅1mm以上のひび割れの場合は、下地深くまでひび割れが進行している状態です。すでに建物内部まで雨水が侵入している恐れもあるため、早急に補修が必要です。
【補修方法】
溝が深くそのままでは、シーリング材が奥まで充填できません。そのため、ディスクグラインダーと呼ばれる電動工具を使い、クラック面に沿ってU型(またはV型)に外壁をカットし、クラック面の溝を広げます。
その後、下塗り材のプライマーを塗り接着力高め、シーリング材や樹脂モルタル、エポキシ樹脂を充填しクラックを埋めてから塗装を行います。
こちらの補修費用相場は、1,200円~2,500円/㎡前後です。
横のクラックには注意!
クラックが縦方向に伸びている場合、雨水は伝い流れ落ちていきます。しかし、横方向にクラックが伸びている場合は、雨水がクラックに止まり建物内部へ染み込みやすいので注意が必要です。
また、横や斜めに伸びるひび割れは基礎に大きな負荷がかかることで発生します。建物は常に一定の負荷が下方向にかかっているため、多少地震の影響を受けたとしても、通常は横方向にクラックが入ることはありません。
そのため、横方向に伸びたクラックが発生している場合は、建物の構造や地盤などに何かしら重大な問題がある可能性があります。そのままクラックの補修を行ったとしても、問題が根本的に解消される訳ではないので、早めに信頼のできる専門業者にご相談されることをオススメします。
まとめ
外壁のひび割れの種類は主に4種類あります。下地に影響のない軽微なひび割れであれば、早急に補修する必要はありません。クラックの幅によって補修方法が異なりますが、幅0.3mm以上のひび割れの場合は、建物構造にまで影響する構造クラックの可能性があるので注意が必要です。
そのまま放置してしまうと、ひび割れ部分から雨水が建物内部に侵入し、建物内部を腐食させ建物内部の損傷が進行すると、最悪の場合、建物が倒壊してしまう恐れもあるので早急な対策が必要です。
また、クラックが横方向に伸びている場合、雨水が侵入しやすいだけではなく、建物の構造や地盤などに何かしら重大な問題がある可能性もあるため、早めに信頼のできる専門業者にご相談されることをオススメします。
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