サイディングやサッシの繋ぎ目を補修するコーキング(シーリング)の補修費用
サイディングの目地部分やサッシ周りに充填されているコーキング(シーリング)は、雨漏りを防ぐために大きな役割を果たしています。ただ、コーキング(シーリング)も雨風や紫外線などの影響で劣化するため、外壁の塗装とあわせて定期的なメンテナンスが必要です。
このページでは、コーキング(シーリング)の種類や補修方法、劣化症状などについて紹介します。
目 次
コーキングとは
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コーキングとは、サイディングやALCなどの目地と呼ばれる繋ぎ目を埋めるために使われる材料のことです。
ゴム状で弾力があるので、建物が揺れた時にクッションの役割を果たし、建材同士がぶつかったりひびが入るのを防ぎます。さらに、コーキングで隙間を埋めることで、建物内部に水が侵入するのを防ぐこともできます。
コーキングとシーリングの違い
コーキングとシーリングは混同されがちですが、日本工業規格(JIS)では次のように定義されています。
コーキング:展色材(天然樹脂、合成樹脂、アルキド樹脂など)と鉱物質充填剤(炭酸カルシウムなど)を混合して製造したペースト状のシーリング材
シーリング:構造体の目地や間隙部分に充填して防水性、気密性などの機能を発揮させる材料
また、専用の押し出し機で施工するものをコーキング、あらかじめ形が決まっているものをシーリングと呼ばれる場合もあります。
ただ、実際にはあまり区別して使われることはないため、コーキングとシーリングは呼び方が違うだけで同じものだと思っていただいて問題ありません。
カートリッジと2液タイプがある
コーキング材は主に1液タイプと2液タイプの2種類に分類されます。
1液タイプはカートリッジ式で比較的小さい面積に施工する場合やDIYなどに向いており、ホームセンターでも購入が可能です。
2液タイプは硬化剤を専用の撹拌機で混ぜ合わせてから専用のガンで施工していくもので、ビルやマンションなどの大規模な施工の際に使われます。専用の機材や知識が必要になるので、業者向けと言えます。
コーキングの種類
ポリウレタン系
柔軟性や弾性、耐久性に優れており、幅が広い目地にも対応可能です。戸建てのサイディングやALC外壁の目地に使われます。
変成シリコン系
耐久性が高く、さらに塗装とも相性が良いためコーキングの上に塗装できるという特徴があります。現在最も使われている種類で建築物の内外装、水回り、金属など様々な場面で用いられています。
ウレタン系
密着性に優れており、硬化するとゴムのように弾力性を持つため、クラック補修や目地の補修などで使用されます。ただ、紫外線に弱く汚れやすいという特徴があるので、コーキングの上から塗装して保護する必要があります。
アクリル系
水性タイプのコーキング材なので扱いやすく、価格も比較的安い種類になります。ですが、耐久性が低いためリフォーム工事ではあまり使われません。主に新築時や内装の目地などに使用されます。
シリコン系
耐久性、耐候性、耐水性、耐熱性が高く、主にキッチンや浴槽などの水回りに使用されます。ただし、コーキングの上に塗装をしても塗料が密着性せずにすぐ剥がれてしまうため、外壁塗装ではあまり使われません。
コーキングの劣化症状
コーキングに現れる劣化症状は、主に以下のようなものがあります。
シワ、ひび割れ
紫外線や雨風などの影響によってコーキングの弾力性が失われ、振動や温度変化による伸縮に対応できずに亀裂が入ってしまう劣化症状です。
ひび割れが発生すると、その部分から雨水が侵入して下地が傷んでしまったり、雨漏りに繋がる場合もあるので注意が必要です。
痩せ
可塑剤と呼ばれる、コーキングに柔軟性を持たせる成分が表面に溶けだしてしまい、それにより厚みが失われている状態です。放置していると隙間ができて雨水が浸入したり、コーキングと外壁材そのものが剥がれてしまう可能性もあります。
ベタベタして柔らかくなる
コーキングのベタつきは、コーキングの含まれている可塑剤が表面で出てきてしまうことにより発生します。これを「ブリード現象」と言い、可塑剤が塗料や汚れと反応して、変色や黒ずみが起こりやすくなります。
コーキングの施工方法
コーキングの施工方法には「打ち替え」と「打ち増し」の2種類あり、さらにコーキングを施工するタイミングは「先打ち」と「後打ち」に分けられます。
それぞれメリット・デメリットがあり、どちらの方法を選択するかは劣化状況や業者の判断によって変わるので、事前にどのような方法で行うのか確認しておくようにしましょう。
打ち替えと打ち増し
打ち替えとは、既存のコーキングをすべて撤去してから、新しいコーキングを施工する方法です。すべてのコーキングを変えるので費用は掛かりますが、耐久性や防水性は打ち増しに比べて高くなります。
打ち増しは既存のシーリングを撤去せずに、上から新しいコーキングを施工する方法です。費用は抑えられますが、既存のコーキングの劣化が激しい場合は打ち増しで行うことはできません。
先打ちと後打ちについて
先打ち・後打ちとは、コーキングの施工を塗装の「前にする」のか、それとも「後にする」かということです。
塗装をする前にコーキングを施工する「先打ち」の場合、コーキングの上にも塗装をすることになるので、塗膜が紫外線や雨風などからコーキングを保護してくれるメリットがあります。ただし、塗膜はコーキングよりも硬く伸縮性がないため、コーキングが地震などによって動くと、上に塗装した塗膜がひび割れてしまうことがあります。
塗装した後にコーキングを施工する「後打ち」の場合は、コーキングの上に塗装をしないので塗膜がひび割れてしまう心配はありません。しかし、塗膜でコーキングを保護することができないため、先打ちよりも劣化が早く進んでしまうデメリットもあります。
コーキング補修方法
サイディングのコーキング補修
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コーキングの補修を行う際は足場を設置して作業するので、外壁・屋根塗装と一緒に施工することにより足場代を抑えられます。
外壁塗装をするタイミングは築10年~15年程が一般的で、その頃にはコーキングの劣化も進んでいることが考えられるため、打ち替えで補修をして耐久性・防水性を復活させるのがオススメです。
作業工程は主に次のような流れになります。
1.既存のコーキングをすべて撤去する
2.外壁材にコーキングが付かないように、マスキングテープを両端に貼り養生する
3.接着剤の役割を果たす、プライマーと呼ばれる下塗り材を塗布する
4.コーキングガンを使って新しいコーキング材を充填する
5.ヘラで押さえながらコーキング材をならしていく
6.コーキングが乾く前に養生を撤去する
サッシのコーキング補修
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サッシ部分は雨漏りを引き起こしやすい箇所なので、定期的な点検やメンテナンスが大切です。
サッシ周りのコーキングには内側に防水シートが施されており、既存のコーキングを撤去する際にこの防水シートを傷つけてしまう恐れがあります。そのため、サッシのコーキング補修では防水シートが傷つかないように打ち増しで行うのが一般的です。
作業工程は主に次のような流れになります。
1.外壁材にコーキングが付かないように、マスキングテープを両端に貼り養生する
2.接着剤の役割を果たす、プライマーと呼ばれる下塗り材を塗布する
3.コーキングガンを使って新しいコーキング材を充填する
4.ヘラで押さえながらコーキング材をならしていく
5.コーキングが乾く前に養生を撤去する
施工単価
施工単価は、打ち替えは900円~1,200円/m、打ち増しは500円~900円/mが相場です。
一般的な2階建て30坪の戸建てで外壁のコーキングを補修する場合は、打ち替えで140,000円~200,000万円程度、打ち増しで100,000~150,000円程度となります。
まとめ
コーキングには、防水性を高める目的や外壁材同士がぶつかり合わないようにするクッションのような役割があります。コーキングが劣化すると雨漏りや外壁材の破損などが起こる可能性もあるので、定期的にメンテナンスすることが大切です。
補修方法は施工箇所や劣化状況などで異なり、業者によっては判断が分かれる場合もあるので、作業内容やメリット・デメリットをしっかりと理解しておきましょう。