外壁塗装以外のリフォームの種類(カバー工法、張替え)と相場
外壁は常に雨風や紫外線の影響を受けているため、経年劣化などにより様々な劣化症状を引き起こします。そのまま放置してしまうと、雨漏りや建物全体に深刻なダメージを及ぼす可能性があるため、定期的にメンテナンスを行う必要があります。
外壁のリフォームには様々な方法があり、劣化状況に合わせて適切なリフォーム方法を選ぶことが重要です。
このページでは、外壁リフォームの種類やそれぞれの特徴について説明していきます。
外壁塗装以外のリフォーム方法
外壁塗装以外のリフォーム方法には、塗装以外に「カバー工法(重ね張り)」と「張り替え」という2種類の方法があります。
カバー工法とは、既存の外壁の上から新しい外壁材を重ねて張るリフォーム方法で、重ね張りとも呼ばれます。張り替えは、既存の外壁を解体・撤去してから、新しい外壁に張り替えるリフォーム方法です。
外壁のリフォームでは、既存の外壁材の素材や劣化状況に配慮しながら、適切なリフォーム方法を選択することが大切です。次は、それぞれの特徴について説明していきます。
カバー工法の特徴
カバー工法とは、重ね張りとも呼ばれ、既存の外壁の上から新しい外壁材を重ねて張るリフォーム方法です。そのため、外壁の撤去費用や廃材の処理費用を抑えることができます。また、外壁が二重になることで、断熱性や遮音性を高める効果が期待できます。
しかし、外壁の下地材に劣化が見られる場合や劣化によって外壁の強度が低下している場合はカバー工法での施工はできません。また、新しい外壁の重さが増えることで建物の総重量も増加し、建物の耐震性に影響する可能性があるので注意が必要です。
施工料金の相場
カバー工法での工事単価の相場は以下の通りです。諸経費は業者によって異なりますが、工事費の5~15%が目安となります。
工事費用 | 施工単価(㎡) |
---|---|
足場代 | 600~800円/㎡ | 施工費 | 2,500~3,000円/㎡ | シーリング費用 | 900円~1,200円/㎡ | 資材運搬費及び諸経費 | 1式 10,000~20,000円 |
カバー工法で使用される外壁材は、主に4種類あります。素材それぞれの特徴や施工料金の相場は以下の通りです。
外壁材の種類 | 耐用年数 | 施工単価(㎡) | 特徴 |
---|---|---|---|
窯業系サイディング | 20〜40年 | 4,000円~5,000円/㎡ | 耐震性、耐防火性優れているという特徴があります。また、デザインが豊富で、現在では7割以上の住宅に採用されています。 |
金属系サイディング | 20〜40年 | 3,000円~7,000円/㎡ | 耐久性があり、熱・凍結に強いという特徴があります。また、軽量なため耐震性に非常に優れ、カバー工法に最も適した外壁材です。 |
木質系(木製)サイディング | 20〜50年 | 6,000円~10,000円/㎡ | 他の素材では出すことができない風合いと優れた断熱性が特徴です。しかし、燃えやすい・腐りやすいというデメリットもあるため、こまめなメンテナンスが必要です。 |
樹脂系サイディング | 20〜50年 | 8,000円~10,000円/㎡ | 凍結・衝撃・雨に強いという特徴があり、軽量なため建物の負担を少なくすることができます。しかし、国内でのシェア率が1%程度とあまり普及していないので、施工できる業者を探すのが難しいというデメリットがあります。 |
張り替えの特徴
張り替えとは、、既存の外壁を解体・撤去してから、新しい外壁に張り替えるリフォーム方法です。既存の屋根材に使用されている素材や経年劣化などによって、カバー工法では対処できない場合にこちらの方法で施工を行います。
既存の外壁材を一度撤去するため、下地材の劣化状況を確認し補修することができます。また、既存の外壁材の状況に影響を受けるカバー工法とは異なり、張り替えは既存の外壁材を解体・撤去するため、既存の屋根材の状態に関係なく施工を行うことができます。
モルタルは張り替えが出来ない
モルタルは、セメントと砂を練り混ぜた建材です。モルタルを壁に塗り固め成形したモルタル壁には、サイディングのような継ぎ目がないため、張り替えることはできないので注意が必要です。
施工料金の相場
張り替えでの工事単価の相場は以下の通りです。張り替えでリフォームを行う場合は、既存の外壁を撤去するための費用が必要となります。
工事費用 | 施工単価(㎡) |
---|---|
足場代 | 600~800円/㎡ |
養生(シート/ネット/テープなど) | 100〜460円/㎡ | 施工費 | 2,500~3,000円/㎡ | シーリング費用 | 900円~1,200円/㎡ | 資材運搬費及び諸経費 | 1式 10,000~20,000円 |
既存外壁の撤去費用 | 800~1,000円/㎡ |
張り替えで使用される外壁材は、カバー工法と同様のものを使用します。相場は下記の通りです。
外壁材の種類 | 耐用年数 | 施工単価(㎡) |
---|---|---|
窯業系サイディング | 20〜40年 | 4,000円~5,000円/㎡ |
金属系サイディング | 20〜40年 | 3,000円~7,000円/㎡ |
木質系(木製)サイディング | 20〜50年 | 6,000円~10,000円/㎡ |
樹脂系サイディング | 20〜50年 | 8,000円~10,000円/㎡ |
塗装・カバー工法・張り替えを比較
他の工法と比べたときの塗装のメリット・デメリット
【メリット1】リフォーム費用を抑えることができる
他のリフォーム方法に比べ費用を安く抑えることができます。
【メリット2】工期が短く済む
張り替えに比べ、工期が短く済みます。工事期間は建物の規模にもよりますが、1週間程かかります。
【メリット3】防水性だけではなく、特殊な機能を持たせることができる
塗料は、様々な機能が付随した「機能性塗料」があります。選ぶ塗料によって断熱効果や遮熱効果を高めることができます。また、塗料によっては、防汚性が高いものやセルフクリーニング機能を持つ塗料もあります。
【デメリット1】劣化状況によっては施工できない場合がある
ひび割れやサイディングの反り返りなど劣化や損傷が激しい場合には、塗装で対応することができない場合もあるので注意が必要です。
【デメリット2】定期的な塗り替えが必要
使用する塗料によって耐用年数は異なりますが、定期的な塗り替えが必要となります。
他の工法と比べたときのカバー工法のメリット・デメリット
【メリット1】リフォーム費用を抑えることができる
既存の外壁材を残したまま施工するため、外壁材の撤去や廃材処分などの費用が必要ないため、張り替えに比べリフォーム費用を安く抑えることができます。
【メリット2】工事期間が短く済む
屋根材の解体や撤去をする必要が無く、塗装のように乾燥時間が必要ないため、リフォームの工事期間が約4日程と他のリフォーム方法に比べ短く済みます。
【メリット3】断熱性、防音性、防水性を高めることができる
外壁が二重になるため、断熱性や防音性、防水性を高めることができます。
【デメリット1】総重量が重くなる
外壁が二重になるため、その分荷重が増えます。建物の総重量が重くなればなるほど、耐震性は低くなるので劣化した外壁では、ガルバリウム鋼板などの「金属系」や「樹脂系」の軽量な外壁材に限られる場合があります。
【デメリット2】劣化状況によっては施工できない場合がある
経年劣化が酷く外壁の下地材が傷んでいるなどが原因で外壁の強度に問題がある場合には、外壁ではカバー工法で施工することはできません。
【デメリット3】内部結露が発生する場合がある
外壁が二重になることで、内側の壁と外側の壁の温度差が生じるときに、壁の間で結露が発生してしまう場合があります。
結露を防ぐためには、壁の中に「胴縁」と呼ばれる部材を間隔を空けて配置し、空気の通り道をつくる必要があります。そのため、カバー工法でリフォームを行う際には結露の可能性などしっかりとした知識を持った業者に依頼することが重要です。
他の工法と比べたときの張替えのメリット・デメリット
【メリット1】下地材の劣化状況を確認し補修することができる
既存の外壁材を一度取り払うため、下地材の劣化状況を確認し補修を行うことが可能です。
【メリット2】次回のメンテナンスまでの期間が長くなる
新築同様に外壁を一新することで、次回のメンテナンスまでの期間が長くなるというメリットがあります。
【メリット3】耐久性を向上させることができる
既存の野地板や防水シートなどの下地材も新しく取り替えるため、建物の耐久性を向上させることも可能です。
【デメリット1】リフォーム費用が高額
既存の外壁材を一度取り払うため、外壁材の撤去や廃材処分などの費用が必要となります。そのため、他のリフォーム方法に比べ費用が高額になってしまいます。
【デメリット2】工期が長くなる
大規模な工事になるため、他のリフォーム方法と比べ工期が3週間程と長くなってしまいます。
比較表
総2階で約30坪の建物の施工する場合を比較すると、それぞれ以下のような特徴があります。
塗装 | カバー工法 | 張替え | |
---|---|---|---|
費用 | 60〜180万円 | 130〜220万円 | 150~300万円 |
耐久性 | 約10年~25年 | 約30年~40年 | 約30年~40年 |
工期 | 5〜14日 | 10〜20日 | 10〜25日 |
断熱、防音効果 | 選ぶ塗料によって断熱効果や遮熱効果を高めることができる。 | 外壁が二重になるため、断熱性や防音性、防水性を高めることができる | 使用する材料によって断熱、防音効果を高めることができる。 |
耐震性 | 劣化症状の補修を行うことで建物の耐久性を維持することは可能。 | 荷重が増えることで耐久性が低下する可能性ある。 | 下地の補強や軽量な外壁材を採用することで耐震性を高めることが可能。 |
カバー工法と張り替えは築30年が目安
外壁のリフォームは劣化状況にもよりますが、定期的にシーリングの補修や塗装でメンテナンスを行い、外壁材の耐用年数の目安である築30年以降は、カバー工法や張り替えを検討するのがオススメです。
カバー工法や張り替えを行ったうえで定期的なメンテナンスを行えば、その後30~40年は建物に済み続けることができます。また、外壁のリフォームでは今の建物にあと何年の耐用年数が必要となるかを考慮することが重要です。
ご子息に継いでもらい長く住んで欲しいというのであれば、外壁カバー工法か外壁の張替えをお薦めします。しかし、あと10年ほど保てばいいという場合には、もちろん劣化状況にも寄りますが、数百万もの費用をかけて外壁カバー工法や外壁の張替えを行う必要はありません。
そのため、外壁のリフォームを検討されている場合には、今後のライフプランなどを考慮しながらリフォーム方法を検討する事がとても大切です。
まとめ
外壁のリフォームには、大きく分けて「塗装」「カバー工法」「張り替え」の3種類のリフォーム方法があります。それぞれに、メリットやデメリットがあり予算や劣化状況に合わせてリフォーム方法を選択することがとても大切です。
建物の状態によっては、カバー工法で施工を行うことが難しい場合もあります。劣化の進行を放置せず早期にメンテナンスを行うことで、外壁材本来の耐用年数を維持することができますので、10年に一度を目安に定期的な点検を行うようにしましょう。
建物の劣化状況に適したメンテナンスが重要ですので、外壁のリフォーム方法でお困りの際には、ぜひ実績豊富なHOME TOKYO / CHIBAまでご相談ください!